敗者のゲーム(11-12)
この記事
前回の続き
- 11章:収益率の特徴と中身
- 12章:リスクが収益を生み出す
超ざっくり各章まとめ
- 11章:値上がり益はリスクがあるからこそ、リスクを織り込んで高くなる。
- 12章:市場のリスクは認識しておけ。
11章 収益率の特徴と中身
運用収益は、インカムゲイン*1とキャピタルゲイン*2があり、皆キャピタルゲインに注力する。
ファンドマネージャやアナリストががキャピタルゲインのためにしのぎを削る…それは骨肉の…ストレスフルな世界。
殆どの運用機関や個人に取ってはコレは重要ではない。それでもこの競争が起こるのは、プロ過ぎて有能すぎるので黙ってても情報戦になるから。
普通株の評価を決めるのはなにか
普通株の評価は将来の収益と配当金への期待、もう一つが将来の予想収益から現在価値を逆算する割引率。
実際には需要の変動、市場変化、海外の競争等が関わるので時期によっても変化する。
最大の要因は、投資リスクと予想インフレ率。
長期投資に大切なのは将来多数派がどう考えてるかという点。
期間が長いと企業収益と配当実績の影響が大きくなり、割引率の影響は下がる。
投資収益率の3つの特徴
平均収益率の主要部分は
- リスクがなくても最低必要な収益率(債権なら貸した分の金額)
- 無リスク収益率に上乗せで、インフレによる購買力の予想減価を相殺するだけのリスクプレミアム
- インフレ調整後の無リスク収益率に、マーケットリスクを上乗せするリスクプレミアム
これを元に短期債を見てみると、長期的には収益率はゼロになる…。
結局政策金利とインフレによって金利変動する以上、それはインフレ率に追従するから、インフレによる現金の目減りを避ける結果になる。
長期債は、企業が潰れるデフォルトリスク、長期間の金利変動のリスクがリスクプレミアムとして乗るので、もう少し収益性が高い。
普通株は、元本償還すらないというリスクプレミアム分だけ高くなる
チャンスと思える投資機会に出会ったら
投資収益性は
- 予想インフレ率に大きく左右される。市場予想を超えるインフレは、FRBの金利上昇、購買力の低下、株価下落*3に繋がる。逆は上昇相場に繋がる。
- 短期では小さく見える収益性も、長期で複利も絡めると凄まじいことになる。
それを押しても、チャンスと思える機会はごく稀に発生する。
そんな時は下記をかならず決めておく。
- すべてうまくいく時の、期待値と可能性の見積
- ワーストシナリオと、その可能性見積
- ポートフォリオのどの位をそのチャンスに投じるかの判断
- 下がった場合の行動の規定
リスクが収益を生み出す
投資リスクは4つのタイプで考えられてる
- 価格リスク: 株価を高値つかみするかもしれない
- 金利リスク: 現在の予想より、インフレ率が変化してないか?
- 事業リスク: 会社の業績が思う程振るわないかもしれない
- 倒産リスク: 読んで字のごとく
三つのリスク
おおよそリスクは3つある
- 市場リスク
- 個別銘柄リスク
- 株式グループ(セグメント)リスク*4
後ろ二つは分散すれば回避可能*5。
インデックスファンドは市場連動になってくるので、個別株、セグメントリスクは無視できる。
市場リスクをいかに管理するか
長期資産運用の決定的要素は、残った市場リスクをいかに管理するかになる。
1は長期運用の目的が変更されたときにのみ実行されるべき。
リスクの様に見えるものが本当にリスク化は、投資期間で決まる。
長い時間をかけて投資すれば、市場リスクとて一次的なイベントでしかない。
購入時に相場として低いか高いか判断できないなら、ドルコスト平均法*6すればいい。
ただし、市場リスクにさらされた後に同じ水準に回復するのにどれだけの期間がかかるかは神のみぞ知る。
1929年 に下がった S&P500 が同じ水準に戻るのに 1958年 まで 29 年かかってる事実は知っておく必要がある。