技術をかじる猫

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敗者のゲーム(2-4)

この記事

「敗者のゲーム」を各章単位でざっくりまとめていくよ。

第二章「運用機関の本当の役割」

資産運用の仕事は本来二つある。

  • 顧客である投資家のために最善を尽くす
  • 利益追及の事業

しかし運用機関はビジネス(後者)を優先しがち。
前者で顧客満足度を出すには、今の市場で競争相手に勝つのは難しい。

尚、前者は「運用」と「運用アドバイス」がある。

運用機関の3つの課題

  • ファンドマネージャの使命を「市場に勝つこと」と勘違いしてる。
    「敗者のゲーム」な現代でコレはキツイ。
  • 短期収益志向が強まってる。
    市場価格・報酬の増加、手数料の増加で、運用機関の利益が高くなって、運用機関の経営陣も集客できる分かりやすい数値が欲しい。
  • 運用アドバイスの重要性を見失ってる。
    一般投資家は自分の知識、技術、リスク許容度、収入、運用機関、目的等を踏まえてバランスの取れたアドバイスが欲しい。
    別に市場に勝つことを求めてる訳ではない。
    でも前者二つに傾倒されては…

個人的所感

【短期収益志向】…テーマや、流行によるゴミ投資信託が乱立する背景はコレか…
そしてこんなファンドを大量に作るなら、そりゃ個人投資家に勧めたくもなるよなぁ…

そりゃ投資に負けて市場から退場する個人投資家が多いわけだよ(==;

第三章「厳粛なる現実」

時代は変わった

市場規模、個人投資から機関投資、デリバティブ出現、アナリストの大量発生、法整備と情報開示、情報の広まり方、トレーダーの増加等。

長期的視野に立つアドバイスに耳を傾けよう

こんな状況では、情報とIT装備、経験まで備えた運用のプロに勝つのはキツイ。
アクティブファンドも手数料込みで市場に勝つのはプロでもキツイ。

個人投資家が参考にするファンドのパフォーマンスは

  • 取引でかかる税金も考慮が必要だが、パフォーマンス・データはこれを無視してる…
  • 運用成績計算に金額の代償は考慮されないので、正確な運用実績ともいえない。
  • 運用成績を元にファンドの乗り換えをしていると、長期的にはリターンの $\frac{1}{3}$ を吐き出してる。
  • そもそも過去のパフォーマンスは将来の成績と相関性がない

なので、長期リターンに役立つ運用アドバイスは、個々の顧客がその長期的視野から外れない様に助言すること。
長期収益性やリスク、乱高下についてきちんと説明し、長期運用を貫く事。

個人的所感

2024 年の新NISA枠は「売ったら枠が復活する」「儲けに対して課税しない」があって、短期売買をやる人が結構出そうな気がする。
だが、こんな状況ではリターンは厳しい…というか、NISA でアクティブ運用は罠がある。

運用の時の損失を確定申告で申告できない。
※ つまり損失分を税控除されない

短期の売買はこの章の通りやめた方がいいでしょうよ…

第四章「それでも市場に勝ちたいなら」

リスク調整後で市場に勝つ唯一の方法は、競争相手のミスを見つけて利用すること。
プロを相手にそれができますか…?勝ち続けられますか?
市場の底打ちを拾って、天井を見極めて売る、市場タイミングに賭けるやり方です。

市場タイミングに賭けるべきでない理由

歴史上、大底から回復する最初の1週間で株式リターンのかなりの部分が得られる。
しかし競争のはげしい市場でそのタイミングを見計らうのはキツイ。
プロでも勝ち続けるのはキツイし、何なら嘆いてる。

過去 36 年(1980-2016)のデータ(ケンブリッジアソシエイツ調べ)に基づいて計算すると

  • S&P500 が 11.4%
  • ベスト10日を逃すと 9.2%
  • ベスト20日を逃すと 7.7%
  • ベスト30日を逃すと 6.4%

4つのリターン向上策

  1. 「稲妻が輝く瞬間」に市場に居合わせよ
  2. 将来性のある銘柄を発掘し、誰よりも早く割安価格を見出す
    ファンドマネージャがやってること…
  3. 投資戦略を工夫せよ
    業種の分析、経済状況、金利、新興成長株等の株式グループ評価から適切な物をつかむ。
  4. 特定分野、企業・産業グループを精査せよ
    企業や技術の分析・評価して、経営手法も確認して新規製品の分析をする

4つのリターン向上策の問題点

一流の運用機関はこの4つのどれかに特化してる。
研究も続けるが、運用方法が陳腐化したり、市場変化に追いつけないときに後手に回る。
結局、長期に渡って通用する投資哲学はほぼ発見されなかった。

優秀なやり方は真似されて広がり、市場が変化する。
分析も検索も何処のファンドも一瞬でできて、戦略も優秀なら即真似される。
広まれば市場も変わるので、結局「敗者のゲーム(相手のミス待ち)」になる。

投資の四つの基本原則

これまで優れた投資家が守ってきた投資の基本原則。

  1. 最大の課題は「株式、債権、不動産」等の長期的分配の決定
  2. 将来何にその資金を使うのか、いつ必要になるのか、決めた通りに守れるか
  3. 資産を種類ごとに幅広く分散する
  4. 決めたことを一貫して忍耐強く実行する

個人的所感

結局のところ、ファンドマネージャたちと殴り合いして勝つ気力がないなら、アクティブな投資はあきらめろ。
アクティブファンドはそうそう勝てない。
インデックスファンド買って、信じて塩漬け(長期保持)しておくのが一番間違いない。

つまりはそういう事だな。