販売管理
取引開始時
企業間取引はおおよそ「掛取引1」が一般的。
「信用取引」とも言うけど、取引先を信用してないとできない形式だから。
- 信用調査
相手企業の安定性等を調査して、与信限度額(どの程度支払い能力があるかによって設定される、許容取引額)を設定する。
帝国データバンク等の民間信用調査会社もある。 - 売買契約書締結
売買契約書を作成する…そのままやな。
初回取引開始時に、基本契約書を締結して、後は商談単位で個別契約書や覚書・注文書を作る事が多い。
通常紙面で契約書を作成する場合、2部作成して両者押印、何らなら印紙2 して一部づつ持つことが多い。 - 取引先登録
与信限度額を設定して、各種契約条項含め、取引先を登録する。
IT 的には、不正な登録はないか?二重登録されないか?取引先に関する情報で取引条件3や与信等の値が適正か等をチェックするのがよさげ。
受注
注文を受け付けること。この時点では会計帳簿には乗らない。
財務会計関係は法律が多いが、特に記載のある業務ではない。
一応、民法で言うところの契約行為には該当する4…
なので、一応受付方法は自由。
どれだけビジネスにあったものを提案できるかがエンジニアに期待される所っぽい。
注文は、出荷~売上計上等にタイムラグがあるので、その間の管理(注文残管理)は留意点。
内容は最低限
- 取引先情報
- 取引条件[^3]
- 納品場所
- 納期
- 注文品情報(品名、品目、数量、単価)
- 税率
- 送料
業務処理の統制
受注業務の間、不正な情報の操作があっても、これは財務諸表に出て来ない。
とはいえ、売上につながる部分なのできっちり統制しておきたい。
注文書のチェックや承認フロー等は設定しておきたい箇所。
この時点で現在在庫数や受注可能数などは調べておきたい。
あると便利な機能郡
- 在庫引当
受注が確定するなら、在庫の確保が必要になる。
そこで、このタイミングで受注可能数等を更新する。
ただし、在庫場所が複数ある場合や、ロット単位の引当がある場合など複雑な場合も多いので、物によっては自動引当ではなくて受注入力時に都度入力させるなどを検討したほうが良さげ。 - 後継品、代替品、類似品の検索機能
在庫が切れたり、切れそうな時に変わりのものを案内しやすいようにしておく仕組みとして有効。 - 直送発注入力
仕入先と直送の契約している場合、設定できると便利。
受注確定時に自動発注等も有用 - 与信限度額の確認
信用取引なら取引先の他受注状況も含めた、与信限度額、残高等を確認したい場合がある。
また、受注入力の時に限度額を参照してアラートを出すのも便利そう。 - CTI
Computer Telephony Integration の略。
電話とPCを連携することで、コールセンター等で良く使われる。
特殊系
- 委託販売
商品が売れた時に売上計上を行うが、客先への納入した時点では受注処理も売上処理もしない…。
多くの場合、客先の店頭を倉庫であると見立てて、倉庫間移動で処理する。 - 内示受注
製造業に多いらしい、受注ではないが登録して管理しているだけの受注。
時期に対しての見越し追加生産分の受注等をこれで扱う。 - 見計らい
具体的なものではなく、ある程度の要望から売り手が判断して受注すること。 検索機能でもあれば便利か…?
その他ワード
SFA
Sales Force Automation 属人化しやすい営業活動を、ITで高度化・効率化しようというシステム。
というかまんま Salesforce
だよね(汗
- コンタクト管理
顧客の様々な情報や、関係(訪問回数、頻度、商談進捗など)をDB化して適時共有。 - 商談情況管理 顧客と担当者の商談の情況がどこまで進んでるのか、管理共有する。
- 見積支援
業種ごとの営業活動で、それぞれのノウハウが必要な見積もり作業があるが、こうしたものへの入力支援やチェック機構等を持たせることで、構成ミスをへらす。 - 商品検索システム
商談でも見積もりでもそんなシーンでもだいたい便利だよね…。
常に最新の状態でデータを持たないとならない所があるので、情報集約するためのの機能充実と運用仕組みは考えないとならない。
EIP
Enterprise Information Portal 企業内情報ポータル。
様々なノウハウや情報、サイトやシステム等の入り口を集約して表示することで、必要な情報を効率良く収集するための仕組み。
社内 Wiki とか。
EDI
Electric Data Interchange の略。
「電子データ交換」の意味。 専用回線や通信回線を通じ、ネットワーク経由で標準的な書式に統一された発注書、納品書、請求書などのビジネス文書を電子的に交換することを指す。
売上
商品を納品した段階で、会計帳簿上に売上を計上する。
この時、不正会計できないように 売上計上基準 や 収益認識基準 が決められてる。
売上計上基準
中小企業
企業会計原則では「商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」とのこと。
具体的には以下がある
2021 年以降、日本でも包括的な会計基準が適用されるが、中小は免除という情況。
上場企業
収益認識に関する会計基準 なんてものがある。
これは IFRS の基準に近づける改正らしい。
これは IFRS15号 の5ステップの影響を受けるとのこと。
- 顧客との契約の識別
次の全部を満たす必要がある- 当事者間で契約を承認して、義務の充足を確約している
- 品目・サービスに関する権利を当事者間で識別できる
- 品目・サービスに関する支払い条件が識別できる
- 契約に経済的実質がある(法外じゃない)
- 約束した品目・サービスとの好感に対価が回収できる可能性が高い
- 契約に含まれる個別の履行義務の識別
履行義務:顧客に財orサービスを移転するという顧客との契約における約束。 - 取引価格の算定
ツッコミいらないよね?よね? - 価格の各履行義務への分配
3 で算定した金額を、各工程に割り振る事。
要するに「ここまでできたらXX円ね」と設定すること。 - 収益の認識
企業が履行義務を果たした時に、初めて収益としてカウントする。
大抵の場合、「検収完了」をステップ 2 で約束しておいて、ステップ5の条件が「検収完了」という形を取る。
(納品場所へ届ける…等の場合もある)
収益認識基準
売上に関して「どのように認識し、財務諸表上にどのように反映するのか」についての基準。
わかりやすくいうと、売上をどのタイミングで何円計上するかというルールのことで、2021年4月から始まる会計年度より前述の認識基準が強制適用されている。
売上入力
大抵の場合、受注データから売上データを作成する。
ただし作成方法には幅がある。というのも計上基準が前述の通り幅があるため。
- 出荷基準であれば出荷時点でデータ作成
- 納品基準でれば受領時点
- 検収基準…(ry
これに加えて、返品や値引き、リベート、売上訂正、売上取り消し等は機能として考えておく必要がある。
機能的には
- 赤黒処理
売上入力後の訂正、取り消しは内部統制上なんで更新したのか記録する必要がある。
ので、訂正時は取り消し伝票(赤伝)訂正(後の)伝票(黒伝)を発行して対応する。 - 値引き/返品処理
名前の通りですね…値引きは伝票単位、明細単位、請求書単位等いくつか候補があるところが注意点で、返品なら返品理由が色々ありえるのでその対応に注意。 - リベート処理
販促費、報奨金、目標達成金、協力金みたいなもの…わかりやすく言うなら「アフィリエイトで売上でポイント還元」みたいなものの類。
これは企業やキャンペーンでも異なったりするのでかなりめんどくさい。 - 納品書発行
納品する時に大抵必要。
ただ、場合によっては顧客がフォーマットを指定してくる場合もあるので注意。
後物理店舗であれば
- POS システム
Point Of Sales の略。小売店のレジシステムやね。
販売・精算時点で売上情報を収集するシステム。
カード対応とか色々ついてる
-
商品の注文や納品の時に支払うわけではなく、月に1回等の定期でまとめて請求・支払いを行う形式の取引。↩
-
契約書に添付する消印した切手みたいなもの。印紙が必要になるのは契約書・手形・領収書などの課税文書。金額によって印紙の金額が決まってる↩
-
請求先、支払い条件、掛率、値引きの有無↩
-
日本の法律(民法)上はお互いが同意した時点で契約成立とみなしている。なので、受注を受け付けた時点で一応は契約が成立しているとみなせる。米国や英国だと、契約書類が作成されるまで契約とはみなされず、英国だと対価まで払ってようやく契約成立とみなす。スティイーブジョブスがCEOの時に1ドルだけは貰ってたと言うのは雇用契約を成立させるという意味合い。↩